1.個人でのあいさつから母の会一同でと、役員会へ P.1/3
2.実るまで、信念を貫く P.2/3
3.鶴屋さん、あなたには負けました P.3/3
3.鶴屋さん、あなたには負けました P.3/3
だけど最後は、また断られるかなと思いながら、すいませんけどって行ったら、
「駄目なものは駄目なのよ！ 鶴屋さん」
そこをなんとか、Tさんのお返事がひとつあれば、母の会一同が実るんですから、お願いします。
１時間か、２時間か忘れましたけど、粘ったら、ご主人が、自転車屋さんでしたから、お店で一生懸命自転車を修理しているの。
そうしたら、
「鶴屋さん、あんた、中入んなよ」って言ってくれたんです。
それで、あぁそうですかって言って、
「おまえ、鶴屋さんにお茶でも出せよ」って、
はぁー…わかったなって思った時の嬉しさったらなかったですよね。
それで、ヒョッと何気なく後ろ振り返ったら、５０人位、後ろでみんな見てるんですよ。
なぁーんだろって…。
だって外を通る人には、家の中と外で怒鳴りっこしているように聞こえちゃうんです。
何事が始まったかと思って、みんな立ち止まって見ているわけですよ。
今考えてみると、きっとみっともないから、中入ってくれと言ったのかなと思いますけどね。
でも、それがきっかけで、まぁまぁと、お茶を入れてくれてね。
「つるやさん、あんた若いのに偉いね。よく頑張ったね。たいしたもんだよ。これだけの根気は普通の人間じゃ続かない。並みの人間じゃないよ。その若さで立派だね」
と、言われて、３２、３だったかな。
そして、
「おまえ、この辺はな、みんなお前の言うとおりになる人間ばっりなんだから、ひとつみんなに言葉かけてやって、母の会一同に賛成するように、お前から口切れ」
と、旦那さんが言ってくれましてね。そしたら、
「そうねぇ、しかしホント、鶴屋さん、あんたには負けたわ」
と、奥さんからも言われてね。
すいません。ホントに私のような者の言うことを聞いてくだすって、ありがとうございますって、どこまでも低姿勢ですよ、こういう時は。
そして、とにかくよく頑張ったねぇと、大変だったねぇ。ホントに…。と言って下さいまして、それで母の会一同が出来たんですよ。
そのTさんというのは、一番古株なので、集まったお金を、Tさんのところに持っていったんです。
これを幼稚園に、母の会一同でお持ちになってください。Tさん代表で、お出しになってくださいと、言ったんです。
「なぁーに言ってんの、鶴屋さん。あんたが一番大事してんじゃないの。あんたが持って行くのが本筋じゃないの」
いやぁ私、役員でも何でもないですから。私が持っていくと、かえって幼稚園が不思議に思いますから。
Tさんが一番古いんですから、あなたが持っていくことが一番正しく学校側でも見つめますから、どうかお持ちになっていただきたいんですけどって言ったら、
「しかしあんたって、あんだけ大事したのにねぇ、自分の手柄を人にそうやって、平気で託すの？ あんたって人は大した人だねぇ」
私、手柄と思っていません。ホントに皆さんが助かることが実って良かったなと思う気持ちで、
だけど順序からいけばね、Tさんの方が古いから、あなたが行っていただくのが道だから、
私は道筋を通して行った方が幼稚園側も、納めいいと思いますので、お願いしてるんですと言ったら、
「あ、そうなの。じゃあ私が行かしてもらうけど、あんたも一緒に行かない？ ついてってくれない？」って言うから、
いや、私は役員でも何でもないから、もうこれで私の出番は終わりましたから、どうぞお願いしますって言いましたけどね。
その結果が、幼稚園の卒業式のときに、謝恩会というのがあるんですね。
そうすると、お菓子屋さんなんて各地域にあるんですけど、鶴屋さんがあんなに頑張ってくれたから、謝恩会のお菓子は、みんな鶴やさんに買いに行きなさいと、
それで幼稚園の謝恩会のお菓子を、みーんなうちへ買いに来てくれる。ねぇ、ありがたいもんでしょう。
それで、卒業してから、よその役員さん3人がね、そのTさんも入っているんですよ。
履物の下駄を１足持って、そして、
「ホントに、鶴屋さんにはね、いろいろしてもらったから、 これは私達の気持ちだから」
そう言って、私に履物をくださってね。
「子供さん、幼稚園、卒業しちゃうのね。もうこれっきりなのね。ホントにあなたのような父兄にやめられるのは残念だなぁ」
とまで言われましてね。それで去りました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
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